FDEになるための資格試験は存在しません。だからこそ、資格を待つのではなく、先にFDEのように動いてしまえばいい——マイクロソフトなどで30年以上のキャリアを積んだエンジニアRany ElHousieny氏が提案する練習法は、拍子抜けするほど具体的です。見知らぬコードリポジトリを開いて、1時間以内にその全体像を把握できるかどうか、を練習するのです。
何が起きているか
ElHousieny氏がLevel Up Coding(gitconnected)に2026年6月10日に投稿した記事によれば、AIフォワード・デプロイド・エンジニア(FDE)になるための最も効果的な準備は、面接対策ではなく「実際にその仕事のように動く練習」だといいます。同氏が提案する練習は、次の5つのステップで構成されます。①スタック構成やコードの入口、権限の持ち主を地図のように把握する「地形のマッピング」、②Gitの更新履歴から変更頻度が高いファイルやTODOコメントを探す「リスク箇所の特定」、③チームの命名規則やテスト方法に目を通す「慣例の理解」、④実際に改善できそうな粗い部分を見つける、⑤自分の理解をもとにAIを正確に導く、という手順です。
この5ステップを、1週間単位の練習ドリルに落とし込んでいるのが特徴です。初日は、これまで見たことのない公開リポジトリを開き、1時間以内にその方向性を把握する。週の半ばで実際の課題を1つ特定する。週末には修正を実装し、プルリクエストとして送る。ElHousieny氏自身は、初めて開いたAIエージェント編成フレームワーク「CrewAI」のリポジトリで、1時間以内に全体像を把握できたことを実演しています。
背景と構造
なぜ「面接に応募する」より「先に実践する」ほうが効くのでしょうか。理由は、FDEという仕事の本質が、初めて見る環境で素早く状況を把握し、動くものを作る力そのものだからです。面接での想定問答をどれだけ練習しても、実際の見知らぬコードベースを前にした時の混乱には対応できません。逆に、見知らぬリポジトリを読む練習を積み重ねれば、面接で問われる力そのものが鍛えられます。
この考え方は、FDEという職種が「肩書きを得てから仕事を始める」のではなく、「仕事ができることを示してから肩書きが付いてくる」職種であることを表しています。ポートフォリオや実績が、学歴や資格より重視される理由もここにあります。
日本でFDEを目指す読者にとっての意味
日本でAI実装を仕事にしたいと考える方にとって、この練習法はそのまま使えます。難しいのは、いきなり大きな成果を出すことではなく、「見知らぬものを前にしたときに、まず全体像をつかむ」という基礎動作を、繰り返し練習しておくことです。以前の記事で、FDEへの転身には技術力・現場理解・対人力という3つの力の積み上げが必要だと書きましたが(FDEは資格じゃない、積み上げた回数だ)、この練習法はその中の「技術力」を、資格ではなく実践で鍛える具体的な方法の一つと言えます。
今日からできる一歩は、自分の会社や興味のある分野の、触ったことのない公開リポジトリやドキュメントを1つ選び、1時間だけ時間を取って「これは何をするものか、どこから手を付けられそうか」を書き出してみることです。正解を出す必要はありません。見知らぬものに向き合う経験そのものが、力になります。
現場に入り込んで実装する力を、体系的に鍛えたいと思った方は、FDE養成講座やAI朝活のコミュニティで、その第一歩を踏み出してみてください。
参考記事
- Level Up Coding「Want to Become an AI Forward Deployed Engineer (FDE)? Stop Applying. Start Practicing.」(著者: Rany ElHousieny, 2026年6月10日公開) https://levelup.gitconnected.com/want-to-become-an-ai-forward-deployed-engineer-fde-stop-applying-start-practicing-6f7cc0bf84ca



